「あいつの周りの女子は、好かれようと必死すぎ。
バレバレなんだよ。」



「容姿端麗、成績優秀、何でもできちゃう憧れの王子様。
会話ができる女はわずか2人。」



「そのうちの1人は目の前にいる我らの杏様。
もう一人は、まぁちょっと事情があって別のところに行っちゃったけどね。」



『へぇ、すごいね杏ちゃん。』



「私の場合は、幼稚園の頃からずっと一緒だから。
それに親同士も仲いいしね。
ただそれだけよ。
すごいのは理央ちゃんのほうだよ。
どういう経緯なの!?」



「経緯も何もない。
ただこいつが計算もできない馬鹿なだけ。」



挨拶をいつの間にか終わらせた理央くんが席に戻ってきた。
新入生代表のあいさつが式の一番最後だったみたいでそのまま、閉式の言葉に入った。



一度話を辞めてみんな静かになる。



「朝の約束覚えてるな?
今日から俺がお前のご主人様だ。」



式が終わってざわめいた体育館。
私にしか聞こえない声でそう言った彼は楽しそうに笑っていた。