お前を笑顔にしたいだけ





いきなりのことで呆然としている私を面白そうに見る村田は、汐に聞こえないくらいの小さな声で話し出した。



「俺、一度決めたことは最後までやらねぇと気が済まないんだよ」



「……っ!?」



その表情はどこか色っぽく、落ち着いた鼓動がまた速まってきた。



「だ、だからって今やらなくても……!」



汐に見られたらどうするんだ。
今は違う棚にいて見られていないから良いものの。



「里穂ー!
新書ってどこの棚にあるの?」



その時、タイミングよく汐の声が聞こえてきた。



急いで汐のところへ向かおうとしたけど……



「……んっ」



また、唇を重ねられてしまう。
今度はきつく塞ぐように。



だから息ができない。



さらには触れるだけのキスじゃなく、中々離してくれない。