そんな中、ゆっくりと村田の方を見れば…
村田は目を見張り、固まってしまう。
「……村田?」
「あー、悪い。やっぱ無理だわ」
「え……?」
何が無理なのか、わからないでいると村田は手に持っていた本を近くの棚に全部置いてしまう。
「あっ、ちょ……ちゃんと見て直さないと…」
「本の心配してる場合かよ」
村田に視線を戻せば、真っ直ぐ私を見つめる村田から目をそらせず、今度は私が固まってしまう。
まるで、捕らえられたかのようで……
そのまま村田の手が私の顎に添えられ、持ち上げられる。
どうしよう、逃げられない。
今の私本当におかしい。
どうして?
どうしてこんなにもドキドキしてるの?
それもまだ、知り合って間もない人間に対して。
ゆっくり、村田の綺麗な顔が近づいてくる。
キス、される。



