お前を笑顔にしたいだけ





「ねぇよ」
「意外と真面目なんだね」



「意外ととか失礼なやつだな。
こう見えて勉強はできる方だから」



「不良なのにね」
「うるせぇ、そんなの偏見だろ」



からかわれ、少し拗ねたように不機嫌になる村田を見て、思わず笑みがこぼれた。



「じゃあなんで生物は面倒くさいの?」
「目つけられてるから。ジロジロ見てきやがんの」



「自業自得だね」
「あ?」



口が悪くなり、私を睨んでくるけど怖いなんて思わない。



「村田って真面目だったら絶対モテたのに、もったいない」



「……へぇ、じゃあ真面目になったらお前、俺に惚れるのかよ」



「なっ……それはありえないから!」



私の反応を見て、今度は村田が笑った。



「どうだかな」



まるで挑発的な言い方をに感じなくもない。
でも、絶対好きになんかなるわけないから!



それに晴樹のことを引きずってる今、恋なんてできない。



きっと、心のどこかでまだ信じていたんだと思う。



“別れよう”と晴樹が言ったのは、何か理由があるんじゃないかって。



そんなこと、あるわけないし都合の良い解釈だってわかっているけれど




そう思わずにはいられなかったんだ。