お前を笑顔にしたいだけ





「そっちの方がいいな、お前。
俺でいっぱいになったお前の方がいい」



そう言って先に出てしまう村田。



ずるい。
今のはずるすぎる。



不意打ちはダメだ。
心臓に悪い。



一度大きく深呼吸をし、心を落ち着かせてから私も屋上を後にした。



こんなに顔があついのも、ドキドキするのも。



きっと男に免疫がなく、慣れてないからだと思いながら。



そして屋上を出た私は少し前を歩く村田の隣に行く。



「次ってなんだっけ」



少し眠そうにしながら村田は私に聞いた。



「確か、生物」
「うわ、最悪。面倒くせぇやつじゃん」



途端に嫌そうな顔をする村田。
生物の先生は寝ている生徒にはうるさいのだ。



ても……



「村田って授業中、寝たことあるっけ?」



ここ最近、毎日来ている村田だけど授業中に寝ているところを見たことない。