お前を笑顔にしたいだけ





『里穂ってさ、抱きしめられるの好きだよね』



『うん、好き』



だって晴樹の抱きしめ方は優しくて、温かくて。



いつもドキドキして慣れないけど、抱きしめられるとどこか落ち着いて安心するんだ。



『俺も好き。里穂抱きしめるの。
落ち着くんだ、こうしてると』



だから私と同じ考え方をしている晴樹に、思わず笑ったっけ。



「……っ」



また晴樹のことを思い出して悲しい気持ちになる。



泣きたくなる。



ダメだな、私。
ここに来た時は忘れられることができたのに。



また思い出してしまう私はいつまでも未練ばかり残っている。



「里穂」
「……へ?」



そんな時、いきなり名前を呼ばれ変な声が出てしまった。



これで二回目だ、村田に名前を呼ばれるの。