お前を笑顔にしたいだけ





でもどうやら違うようだ。



「だから俺が言いたいことは、


別に忘れなくてもいいからこうやって忘れる時間もいるんじゃねぇかってこと」



どこか照れくさそうに、私から視線を外して話す村田。



これもまた、意外だった。



もしかして私のためにここに連れて来てくれたっていうの?



「なんで?」
「あ?」



「なんで私に対してそんなこと言うの?」



晴樹のこと知っている人はこの学校にはいないし誰にも言ってない。



だから余計不思議だった。



「なんでって…お前、自分でうまく隠せてると思ってんの?」



「え……?」



「言っとくけど全然隠せてねぇから。
無理して笑って不自然だし、何かあるのバレバレ」



隠せてると思ってた。
一人の時以外は明るくいようと。



まさか、こんな不良に気づかれていたなんて。
それも同じ名前の人間に。



これはなんの偶然だろうか。