お前を笑顔にしたいだけ





私は大人しく村田の隣に座る。
これが心を許しているというのかな。



ううん、違う。
何をしても無駄だって、諦めてるんだきっと。



こうして外で食べるのは初めてで、不思議な気分になる。



新鮮で、陽の光が暖かい。
まるで心も温かくなるようで。



なんだろう、身体が軽くなるような感覚に陥る。



「結構落ち着くだろ、ここ」



私を見て満足気に笑う村田。



「うん、落ち着く」



こうやって青空を見上げていたら、余計なことを考えなくて済んだ。



いつも狭い場所や暗い場所に閉じこもっていたから、余計に晴樹のことばかり考えていたのかもしれない。



「嫌なこととか面倒くさいことあった時、よくここに来るんだよ俺」



「……へぇ、意外。
あんたに嫌なことって思う時があるんだ」



「お前、俺をなんだと思ってんだよ」



「喧嘩ばっかする俺、かっこいいとか思ってそうな男?」



「ふざけんな」



結構本気で思ってたことなのに。
不良ってそういうものなのかなって。