お前を笑顔にしたいだけ





嫌がっても逃げられないし、そもそも動けない。



やっと解放され、息が少し乱れる私を見てどこか嬉しそうに笑ってバカにしてくる。



「慣れてねぇんだ?」
「……っ、うるさい…!」



もちろん晴樹ともしたことはある。



手をつなぐのも、抱きしめられるのも、キスするのも。



全部お互いが初めてで、その度にドキドキしてた。



晴樹は何に対しても私を気にかけ、全部が全部優しかったのを覚えている。



けど、村田は……



それでさえも真逆で。
強引で無理矢理。



こんな奴の彼女になるのを了承する方がおかしい。



「…ま、今日から俺の女だから。
よろしくな」



楽しそうに笑ってるけどこっちは全く楽しくない。



イライラが募っていく。



そしてようやく村田が離れ、その隙に急いで鞄を持ち、図書室を後にした。



仕事が残っているけどそれどころじゃない。



どうして私が村田の彼女にならないといけないのか、キスされないといけないのか。



本気でわからなくて理解できなかった。



そう思った私は図書室に戻ろうとせず、そのまま家へと帰った。