「離して……」
「無理」
「意味わかんないから!」
抵抗しようと思ったら突然腕を引かれ、そのまま本棚の反対側にある壁に押し付けられてしまう。
身動きがとれない。
そこまでだけど、少しだけ背中が痛んだ。
それぐらい乱暴に扱われたわけだ。
じっと私を見つめてくる村田はどこか色っぽくて、危険なにおいがした。
これは、危ない。
目の前にいるのは不良の村田ではなく、一人の男としての村田だ。
けどこんな表情、晴樹ならきっとしない……。
また晴樹と比べる私は本物のバカ。
「どいて」
「そんなんで『はい、どきます』ってなるか普通」
「じゃあどうすればいいのよ…!
いいからはや」
早くどいて。
そう言い終える前に村田の顔が近づいてきて、唇を塞がれてしまう。



