「喧嘩してるところ見たわけじゃないし、危害加えられてないから」
確かに見た目からして怖いけど、村田晴樹に興味はないし、どちらかといえば嫌い寄りだと思う。
だって晴樹と真逆の世界にいるから。
全然違う。
「ふーん。お前、面白いやつだな」
村田晴樹は私の返答に対して笑った。
何故か嫌な予感がする。
「そんなことないよ」
なるべく早く立ち去りたくて作り笑いを浮かべ、村田晴樹に背を向け窓を閉める。
そして席の上に置いてある荷物を持って、教室を出ようとした。
その時にも村田晴樹はまだ私を見つめていて、最後にちゃんと
「また明日」
と同級生として挨拶してから私は教室を後にした。
もちろん今日話したのはたまたまで、これから関わりはないだろうと思った。
関わろうとも思っていなかった。
だけどこの日をきっかけに、事態は大きく動き出したんだ。