「里穂……そんなに落ち込まないで!
何かあったら私も戦うから!」
汐はそう言って眩しい笑顔を浮かべた。
きっと私の前の席が村田晴樹で落ち込んでるか怖がってると思っているのだろう。
でも、違う。
そうじゃないんだ。
村田晴樹が不良だろうが怖いなんて思わない。
本当に怖いのは大切な人を失う時だってもうわかってるから。
でも私に幼なじみがいたことも、付き合っていたことも、ましてやもう亡くなってるなんて汐は知らない。
もちろん言うつもりもない。
話してしまえば弱い私を見せてしまいそうで、学校では明るい自分を演じてる。



