村田は戸惑う私を気にせず、そっと私の頬に触れた。



「こんなにも大切な人のこと……忘れてたんだろう。本当に最低だ、俺」



やっぱり口調が柔らかくて、声も優しくて。
私まで泣きそうになってしまう。



ねぇ、今の言葉を真に受けたとしたらそれって……



「……もしかして…思い出したの……?
全部、思い出したの…?」



私まで声が震えてしまう。



私が聞いたところで、村田は合わせていた額を離して……



今度はじっと、真っ直ぐ私を見つめてきた。
頬に手は触れたままで。