晴樹と、初めて想いを通じ合えた場所で。
村田が、晴樹だと知って。
幸せだったあの日も、真実を知って辛かったあの日だって……
海は、変わらず綺麗だった。
今もそれは変わらない。
前と同じように、二人で横に並んで座って海をじっと見つめる。
お互い何も話さない。
その沈黙の中で、今日までの日々を思い返していた。
晴樹はいつだって優しくて、その優しさは記憶がなくなった村田も同じで……
痛かったはずなのに、事故に遭ったあとも私を最優先にして。
記憶がなくて怖かったはずなのに、私の隣で支えようとしてくれて。
どこまでもあなたは、温かい人……。



