「だからもう泣くな。
里穂が思ってる以上に俺、お前のこと好きだから」



「……っ」



ここにきて突然の告白の言葉に私は顔があつくなる。



「なんか言えよ。
顔赤くなってないで」



いちいちそういうこと言うから、顔があつくなる一方で。



でも、だけど。
今なら言えるような気がした。



勇気を出して、前を向いて……




「私も、村田しか無理だよ。
村田が好き」




ちゃんと言葉にして、伝えたいと思った。
もう隠さない、この気持ちを。



きっと嬉し泣きで潤む目、溢れそうになる涙を必死で抑えながら笑えば、村田も笑う。



「やっと言った。
いつまで待たせるんだよ」



「ご、ごめ……ふっ…」



それは本当に申し訳ないと思ったから謝ろうとしたのに、私の言葉を遮って頬をつねってきた。



本当は離してと言うべきなのに、その手つきは優しくてさっきから目が潤んで仕方ない。



「……超変な顔だぞ今のお前」



村田が嬉しそうに笑うから、私も笑いたくなるけど頬をつねられているため笑えるはずもなく。



代わりにじっと村田を睨んでやった。



けど、この時間がたまらなく幸せで。
夢じゃないかという錯覚に陥ってしまう。



本当に、今起こってることが、今まで起こったことがまるで奇跡のように感じて仕方がない。



だってお互いがお互いのことをわかっていなくても、私たちはまた……




恋に、落ちたのだから。