村田が謝る必要なんかないのに。
「どうして村田が謝るの…?
私、最低なんだよ?
晴樹と比べたり、突き放したり。
それに晴樹のこと覚えてるのに、気づかなかったんだよ……?」
こらえていた涙が溢れ出す。
「そんなの喧嘩ばっかして、見た目も悪かったんだから絶対同一人物ってわかんねぇだろ。
逆にそんな俺のそばにいてくれた里穂に、感謝しかねぇよ」
ぎゅっと、村田が抱きしめる力を強めた。
「それにこんな想ってくれてる里穂のこと、嫌いになるわけねぇ。
なんで忘れてんだろ……」
「村田……」
こんな私に対して、そう思ってくれる村田が本当に温かくて。
思わず私も村田の背中に手を回す。



