涙が止まらなくなってしまう。
「それでね…ああするしか方法がなかった。
【別れよう】って言葉を送ることしか私にはできなくて……
里穂ちゃんが病院に来た時、話そうと思ったけど里穂ちゃん信じてたから。
まだ晴樹が別れたいと思ってるって。
ならそのままで忘れた方が、里穂ちゃんのためになるんじゃないかって。
それなのに私、ずるいことしたの。
わざと里穂ちゃんと同じ高校を通わせるようなことして…
だけどそこで晴樹と出会って、こうして晴樹を変えてくれたのに余計里穂ちゃんを苦しめていたんだね…。」
ごめんなさい、と。
紗江さんは謝るけど、紗江さんも苦しかったはずだ。
晴樹が変わってしまって。
悪い方に進んでしまって。
両親のことや自分のことでさえ忘れてしまって……
「おい、どういうことだよ……」
その時、低い声が部屋に響いた。



