お前を笑顔にしたいだけ





「里穂ちゃん…あなたが晴樹を……」



そのまま紗江さんは私の元に来て、ぎゅっと私を抱きしめた。



そしたら自然と私も涙が溢れてしまう。



「……ごめんなさい…紗江さん、ごめんなさい……私、忘れないといけないのに…」



謝罪の言葉が、自然と私の口からこぼれた。



そうだ。
私はそれぐらいのことをしたのだ。



もう晴樹のそばにいてはいけないというのに……



「謝らないで…?
違うの、里穂ちゃんは誤解したままなの…」



誤解、したまま。



なんのことかわからなくて紗江さんに聞き返そうとしたら、その前に紗江さんは私から離れた。



そして優しく微笑み、私を見つめる。