お前を笑顔にしたいだけ





ガチャリと音を立て、開かれるドア。



まるでスローになったかのように、ゆっくりとドアが開かれるような感覚がして……




そこから現れる、紗江さんの姿。




ほぼ三年ぶりの紗江さんは、昔とほとんど変わっていなかった。




そんな紗江さんの目は、私を捉えるなり大きく開かれていって……



「……り、ほちゃん……?」



掠れた声が、私の耳に届いた。



「……は?
なんで里穂の名前知って……」



「嘘…本当に、こんなこと……」



村田も驚いている。
ダメだ、このままじゃバレてしまう。



どうにかしないと、と思っていたら紗江さんの目が潤み、涙となって頬を伝っていた。