村田は部屋を出て行ってしまう。 どうしよう。 もし、紗江さんだったら…? なんて言えばいい? 言い訳なんてできない。 だって私はまだ中途半端な距離を保って、村田の側にいるんだから。 説明なんかできなくて、ここで怒られたり呆れられたりする覚悟はしとかないと。 そう思っていたら近くで声が聞こえてきた。 「あんたの好きな子でしょ!」 「まじで迷惑だからやめろって言ってんだろ」 久しぶりに聞いた声は、ほとんど変わっていなくて。 ドア越しに聞いたその声は、確かに紗江さんのものだった……。