お前を笑顔にしたいだけ





逃げ場なんてあるはずなくて。



二階にある村田の部屋に案内される。
というか半ば無理矢理だ。



「……里穂」



部屋に入って座るなり、村田に後ろから抱きしめられる。



それが久しぶりで、懐かしくて。
ドキドキするし涙腺が緩む。



「やっぱお前しか無理だわ、俺」



その上、そんなこと言うから泣いてしまいそうになるんだ。



そんなの私だって……




晴樹しか、好きになれない。




抱きしめられて落ち着くのも、側にいたいって思うのも全部……



晴樹だけなんだ。