お前を笑顔にしたいだけ





「ちょ、村田…!?何して……」



村田が手を離さないから、ついて行く形になって私まで電車を降りてしまう。



もう後戻りはできなくて、行ってしまう電車。



「ね、ねぇってば…!」
「先約だって言っただろ」



「え……?」



確かに教室で、先約があるって言ってたけど約束なんてしていない。



なのに……



「まじで最近お前と二人ってねぇからこっちは我慢の限界だって言ってんだろ」



どうやら村田が勝手に決めたようだ。



そしてまた歩き出してしまう。



「じゃあ今からどこ行くの…!?」



「二人きりになれる場所って言ったら一つしかねぇだろ」



それはそう、だけど。
それって…村田の家ってことでしょ?



それだけはなんとしてでも避けたかった。