村田は私に構わず手をつないだままで、駅まで向かう。
大丈夫、電車に乗って帰るだけだから。
それぐらいじゃ何もないだろうと。
安心して、心を落ち着かせながら電車に乗る。
だけど村田の駅に近づくと、やっぱり離れたくないなって思ってしまう。
せっかくこうして帰ってるのに、村田は一言も話そうとしないし口を開かない。
唯一手をつないでるだけで。
それもなんだか寂しく思っていると、ついに村田の最寄りに着いてしまった。
ダメだ、手を離さないと。
だから私は、『また明日』と言おうと思えば……
「………きゃっ…!?」
手を離されることはなく、また手を引かれて勝手に動いてしまう足。



