「わかったから手離してよ…!」
じゃないと他クラスにまで誤解されてしまう。
それだと村田を好きになった女子が何もできなくなるじゃないか。
なのに村田は余計に握る手の力を強めた。
まるで絶対離さない、とでも言うように。
「こうでもしねぇとお前、逃げるだろ」
「逃げないから…!」
「今日はもう我慢の限界だから。
お前との時間なくて面白くねぇんだよな」
終いには、やっぱり不良の格好の方が良かったかな、なんて言いだす始末。
本当に、ずるい……。
そういうこと言って、私がドキドキするってわからないのかな。
私だって寂しかったよ。
村田との時間が全然なかったから。
でも慣れるためだと、村田が側にいないことに慣れるようにと思っていたのに。



