思わず立ち止まって村田の方を向くと、村田の周りにいた人たち全員私の方を向いた。
本人は気にせず立ち上がり、私の方へ向かってくる。
「晴樹と森原さんってやっぱ付き合ってんの?」
「仲良いよね、村田くんと里穂ちゃん」
だから男女共に誤解してしまっている。
慌てて誤解だと言おうとしたら……
「まあ、もうすぐそうなる感じ」
と、肯定してしまう村田。
「ちょ、勝手に何言って……」
「事実だからいいだろ?ほら、行くぞ」
教室が今の村田の言葉でざわざわ騒ぎ始めたっていうのに、村田は気にせず私の手を引いた。
忘れていた。
村田はこんな風に強引な人間だったってことを。



