これで良かったんだと。
無理矢理思うことにしている。
こうなるべきだったんだと。
頑張って思うようにしている。
村田には村田の人生があるから。
私は邪魔なんだと思って、踏み込まないようにしているのに。
心のどこかでは『思い出して欲しい』って願ってるから中途半端なんだ。
思い出してしまえば、私から離れていくかもしれないのに。
この矛盾する自分がどんどん嫌になって嫌いになる。
その思いをかき消すように歩き、教室のドアを目指していたら……
「あー、悪い。
俺、今日里穂と先約あるから」
はっきりと、村田の声が私の耳にまで届いた。



