「なんで今日に限って人が多いんだよ」



三十分ほど経ち、ようやく落ち着いて利用客が来なくなった後。



本を整理しながら不満をこぼす村田。



仕方ない。
村田が真面目になるから。



なんて言えない。
嫉妬で醜い女な上に好きだってバレてしまう。



「でもこれが当たり前なんだけどね。
図書委員の仕事したって感じ」



だから私は自分を隠す。



本当は嫌だ。
前みたいに利用客がいない方が嬉しい。



でもそれは私の単なるわがままに過ぎなくて……



「……里穂」
「……っ!?」



その時。



本を直している途中で、村田に後ろからそっと抱きしめられた。