「ああ、これ?
これからは、お前の言ってる晴樹みたいに真面目になろうと思って。
結構いけてるだろ?」
「何、それ……自分で言わないでよ……」
本当に私の心を揺れ動かそうとしている。
ずるい。
「見た目って結構大事なんだな。
注目されてきついんだけど」
「なら元に戻せばいいでしょ?」
じゃないと今の村田はどう見ても晴樹だ。
元に戻してくれたらまだ“村田晴樹”として見ることができるかもしれない。
もう手遅れなんだろうけど……。
「無理。
それじゃあ意味ないだろ」
そう言って、村田は満足気に笑う。
「少しでもお前の言ってる“晴樹”に近づきたいなって思ってんだから。
まず不良の見た目してる時点でアウトだよなって思い知らされた」
小さく笑う村田だけど、もちろん私は笑えるはずなくて。
涙を抑えるのに必死だった。
なんでそこまでするの…?
いっそのこと、突き放してくれればいいのに。
そしたら私だって諦めることができるかもしれないのに。
「“友達”のために普通そこまでする?」
友達、をわざと強調する。
遠回しに突き放す私は本当に最低だと思う。
「友達って…俺は諦めるつもりなんてねぇから」
「……っ」
それなのに村田は言い返してきて。
だからどうして村田は……晴樹は、こんなにも私のことを想い続けてくれるの?
そんなこと言われたら私だって……
諦めたいのに、諦めきれない。



