でも、ダメだ。
ここで揺らいでしまっては。
「なら……友達が、いい」
村田は村田の未来がある。
「友達として、支えてほしい。
それじゃあダメ?」
突き放すんじゃなしに、一歩引くだけにすればいい。
友達として、そばにいることを許してほしい。
「今まで通りの関係がいいんだ。
村田とは、ずっと」
遠回しに断るけど、完璧に断らない私はずるい人間だ。
「ごめんね、ほんと……」
その時。
私は村田に抱きしめられた。
温かくて、落ち着いて。
涙が溢れてくる。
これも、全部……晴樹のもので。
どうして気づかなかったんだろう。
村田の腕の中はこんなにも、温かくて落ち着くというのに……。



