なら晴樹は……村田は。



思い出してしまえば、私から離れていってしまうんじゃないかって。



それは嫌だった。
離れてほしくなかった。



私のわがままだったけど私は……言わないことに決めた。



それに紗江さんは私と晴樹を会わせたくなかったのかもしれない。



記憶がなくなった今、私は邪魔なのかもしれない。



ならこれからは“村田晴樹”としての人生を歩むべきなんじゃないかって。



そうなれば私の存在は邪魔になる。



だからせめて、高校の間だけは……



村田のそばにいることを、どうか許してほしい。