お前を笑顔にしたいだけ





「感謝…?」



感謝されるようなこと、私は一つもした記憶がない。



「今から言うこと、結構気持ち悪いだろうけど。
高校になって初めて里穂見たとき……


すっげぇ懐かしい気持ちになって、なんかわかんねぇけど泣きたくなったんだよ、俺。


ダサいけど」



その言葉がまた、私の感情を大きく揺さぶる。



だって、それって……
忘れていても、身体が……心が覚えてたって。



そういうことでしょ?



「それから里穂見るたびに切なそうな表情が気になって、俺まで辛くなるっていうか。


笑顔にしてやりてぇなって、話したこともねぇのにそう思ったんだ。きもいだろ?」



村田は笑うけど、全然そんなことない。



嬉しいよ。
そう思ってくれてて。



嬉しかったんだ。