お前を笑顔にしたいだけ





「……里穂…?」



思わず口元を手で覆った。



嘘、嘘だ……。
信じられなくて、わけわからなくて。



月野晴樹。
その上生死をさまよう事故。



それはどう考えても事実で。



じゃあ今まで私を支えてくれていたのは。
ずっと隣にいてくれたのは……



晴樹だって、いうの……?




涙が溢れそうになって
『晴樹』と呼びたくなって。



だけど必死で我慢する。



だって、気づかなかった。
あんなに晴樹晴樹って言っておきながら。



私は気づかなかったんだ。



村田をずっと、晴樹と比べてて。
まさか同一人物だなんて、知らずに……。