お前を笑顔にしたいだけ




「村田……」



こんなにも優しくて、温かい人なのに。
私はどうして突き放したのだろう。



気づけなかったんだろう。



「……それでさ。


里穂、辛かったのに俺に幼なじみのこと話してくれただろ?


でも実は、俺もお前に黙ってることあるんだ」



「……え…?」



黙ってる、こと?
その時ふと、心当たりがあったのを思い出す。



確か嫌なことがあったら屋上に行くって、言ってたような気がする。



やっぱり村田にも、抱えるものがあったんだって……



「お前になら、言ってもいいって思った。
ていうかちゃんと里穂には聞いてほしい」



時々名前で呼ばれるのがくすぐったい。