お前を笑顔にしたいだけ





確かにその人物は、私が会いたかった村田で。
向こうも驚いたかのように目を見張った。



数秒間、私たちは時間を忘れて見つめ合う。



そして先に口を開いたのは村田だった。



「こっち、これば?」



久しぶりに聞いた村田の声。
それも突き放すわけじゃなく、私を誘う言葉。



嬉しくて、同時に泣きそうになるのを我慢して私は村田の方に行く。



そしてゆっくりと、村田の隣に腰を下ろした。



それからまたしばらくの間沈黙が流れる。



本当は聞きたいことがたくさんあるのに。
まず、どうしてここにいるのか。



それが知りたくて……




「……ここに、来たらさ。


里穂に会えそうな気がして、そしたらマジで来たからびびった」



私だけでなく、村田も驚いていたようだった。