「逃げたらダメだよ、里穂。
このまま向き合わないままだと、二人とも苦しんで終わりだから」
大丈夫だよって、目で訴えられてるような気がして。
力強く真っ直ぐな瞳で、私を見つめる汐。
逃げたら、ダメ。
向き合う……。
このまま逃げてしまえば、ずっとこの気持ちがついてくる。
あんなに支えて、助けてくれた村田を傷つけて終わりだなんて、そんなの嫌で……
「……汐…。
私、ちゃんと話したい」
このまま終わるなんて、私だって嫌だった。
「そうだよ。
話すべきだよ、ちゃんと」
汐に勇気をもらった。
「もう、逃げたらダメだからね?」
「……うん」
逃げないし、向き合う。
村田と話す。
とは決めたものの、村田の連絡先も家も知らない私は夏休み明けまでどうすることもできなくて。



