言ってもいいのか。
一瞬悩んだけれど、気づけば汐に話していた。
村田のことを話せば、晴樹のことも話さないといけないけれど。
それも全部話した。
汐になら、話していいと思ったんだ。
簡単に話したけど、やっぱり思い出すと辛くて泣きそうになった。
でも必死で我慢する。
「……そう、だったんだね……私、やっぱり里穂のこと何も知らなかった…」
話し終えると汐は切なそうな顔をしていて。
私が黙ってたから、心配かけさせて汐にこんな表情をさせてしまったんだ。
「ごめん、ずっと黙ってた」
「謝らないで。
話してくれてありがとう。
里穂、辛かったよね……」
ぎゅっと。
汐は私を抱きしめる。
私が悪いのに。
村田を傷つけたのは私で、私が悪いのに。
そんな私に汐は『辛かったよね』と。
そう言った。
……辛かったよ。
でもこれは全部、私のせいだから……
「でも、このままでいいの?」
少しして汐が私から離れた。



