お前を笑顔にしたいだけ





言ってもいいのか。



一瞬悩んだけれど、気づけば汐に話していた。



村田のことを話せば、晴樹のことも話さないといけないけれど。



それも全部話した。
汐になら、話していいと思ったんだ。



簡単に話したけど、やっぱり思い出すと辛くて泣きそうになった。



でも必死で我慢する。



「……そう、だったんだね……私、やっぱり里穂のこと何も知らなかった…」



話し終えると汐は切なそうな顔をしていて。



私が黙ってたから、心配かけさせて汐にこんな表情をさせてしまったんだ。



「ごめん、ずっと黙ってた」



「謝らないで。
話してくれてありがとう。


里穂、辛かったよね……」



ぎゅっと。
汐は私を抱きしめる。



私が悪いのに。
村田を傷つけたのは私で、私が悪いのに。



そんな私に汐は『辛かったよね』と。
そう言った。



……辛かったよ。
でもこれは全部、私のせいだから……




「でも、このままでいいの?」




少しして汐が私から離れた。