お前を笑顔にしたいだけ





「本当?」



なのに汐はそう聞いてきた。



「本当だよ?
汐から元気もらった気分だから!」



思ったことを口に出すと、汐は顔を綻ばせる。



「……良かった。
あのね、実はここからが本題なんだ」



「え……?」



本題?



あまりにいきなりのことで、私は思わずその場で立ち止まってしまう。



「里穂、まだ時間ある?」
「時間は、大丈夫だけど…どうしたの?」



まだ明るいし夕方だ。
門限もないため、時間はいくらでもある。



「なら私の家来ない?
里穂と、話がしたいんだ」



その表情はいつもと比べて暗く落ち着いていて。



「……うん、いいよ…」



とても断れなかったから、私は肯定した。