「でも、決めたから私……」
「それがお前の本心なのか?」



そう聞かれ、一瞬返答に困ってしまう。



「里穂……」
「本心、だから…!本当にこれでいいと思ってる」



嘘だよ、本当は私も好きだって言いたいけれど。



晴樹がまだ私を好きで亡くなったのなら、私が村田の方に行けば晴樹を裏切ることになる。



村田への気持ちと同じぐらい、晴樹への思いも強いんだ。



「そうやっていつまでも逃げんのかよ」



また、村田は厳しいことを言う。



そうだ。結局私は現実から逃げて過去に囚われているのかもしれない。