お前を笑顔にしたいだけ





『里穂、ごめんな』



その日の夜、夢の中で。
制服姿の晴樹が私に謝った。



『どうして謝るの?』
『……ごめん、里穂。別れよう』



あのメッセージの内容が、晴樹から言われる。



『……嫌だ。
私は好きだから、晴樹のこと。


別れたくない』



なら私は、はっきり言うよ。
別れたくないって。



『ダメだよ里穂。それじゃあダメ』



『なんで?どうして?
晴樹はもう私のこと、本当に好きじゃないの?』



『………うん、好きじゃない』



嘘。
じゃあどうしてそんな辛そうな顔してるの?



『晴樹の、バカ……』



私は迷わず晴樹の手をとる。
そして顔を上げてみれば……



『そうだよな。
俺はお前以上にとことんバカだよ』



いつのまにか村田に変わっていて。



見慣れた金髪にピアスの不良である村田がいた。
晴樹と全く違うのに、違うはずなのに……



その切ない、辛そうな表情が晴樹と重なったのはどうしてだろう……。