ーーー夜
何をする気も起こらなくて、まだ早い時間だったけどベッドに横になる。
サッカーを頑張れるのは私がいるから?
晴樹は私のこと、好きでいてくれた?
もし、本当だとしたら。
本当なら。
あの[別れよう]って言葉は嘘ってこと?
なら、私は……
「……ごめん…」
村田の気持ちに応えるなんて、そんなことできない。
できるわけないよ。
未練ばかりじゃ嫌だから前に進もうと思った。
晴樹を忘れようと思った。
だけどもし、今日松木が言ったことが本当なら……
晴樹を忘れて、晴樹に囚われず前に進むなんてできるわけがない。
逆に忘れてはいけない気がして。
明日、ちゃんと断ろうと思った。
きっと相当村田を傷つけてしまうと思う。
だって今日私は、思わせぶりな態度をとってしまったのだから。
「……バカだ…」
どこまでもバカで最低なんだろう、私。
結局周りじゃなくて自分から辛い選択をしている。
それでもいいと思った。
晴樹の別れの言葉は意味があるって、信じたかったんだ。



