「……村田」
だからどうか、少しでも前に進みたいと思った。
「明日、返事言わせてほしい。
時間がほしいの」
今、すぐには無理だから……
明日ちゃんと決心して、村田に伝えたいと思ったんだ。
もう逃げない。
せめて向き合いたくて……
「わかった」
村田の口から出た、肯定の言葉。
その瞬間、全身の力が抜けた気がした。
「ありがとう」
思い切ってみればなんだか気持ちが軽くなった。
ねぇ晴樹、私ね、前に進むよ。
ちゃんと晴樹にばかり囚われずに向き合うって決めた。
忘れることにするよ、晴樹との思い出。
きっと晴樹も忘れてほしいと思ってるよね、とっくの昔に別れてるのに。
この気持ちがまた揺れてしまわないように、明日に伝えようと私は決めた。



