「む、無理……」
「なんでだよ」
「そ、それは……」
絶対に村田、私に言わせようとしてる。
意識してるからって。
こんなにもギクシャクになって、ドキドキしてるのは……
私が村田のことが好き、なんだって。
本当は気づいてた、この気持ちに。
だからこそ戸惑い、どうしたらいいのかわからなくなっていた。
晴樹のことを忘れて前に進めたわけじゃないのに、村田のことを好きになってしまったから。
余計に中途半端だから。
「この間は逃げられたけど、今日は絶対逃がす気ねぇから」
村田はそう言うなり、私の顎を持ち上げ顔を無理矢理上げさせられる。
村田の瞳に捕らえられた私は逃げ場を失った。



