お前を笑顔にしたいだけ





「む、無理……」
「なんでだよ」



「そ、それは……」



絶対に村田、私に言わせようとしてる。
意識してるからって。



こんなにもギクシャクになって、ドキドキしてるのは……



私が村田のことが好き、なんだって。



本当は気づいてた、この気持ちに。



だからこそ戸惑い、どうしたらいいのかわからなくなっていた。



晴樹のことを忘れて前に進めたわけじゃないのに、村田のことを好きになってしまったから。



余計に中途半端だから。



「この間は逃げられたけど、今日は絶対逃がす気ねぇから」



村田はそう言うなり、私の顎を持ち上げ顔を無理矢理上げさせられる。



村田の瞳に捕らえられた私は逃げ場を失った。