お前を笑顔にしたいだけ





目を合わせているわけじゃないのに。
こんなにも意識してしまうなんて。



足をぎゅっと抑えるけど、まだ痛い。
きっと本の角に当たったからだ。



「本当にダサいよね、あはは……」



私の乾いた笑いは、響くことなく消え入ってしまう。



「本当バカだな、お前。
なんかもうらバレバレすぎて呆れる。


さすがの俺も、あからさまに避けられたら結構傷つくんだけど」



村田の低い声がはっきりと耳に届いた。



そりゃバレてるよね。



「ご、ごめん……でも、あの……」
「なぁ。顔見て言ってくんねぇと聞こえにくい」



せっかく頑張って返そうとしているのに、村田はハードルの高いことを言う。