でもほうきを渡しただけマシだよね。
そう思い、私は掃除に集中することにした。
二十分ほど経ち、今度は本の整理。
お互い黙々とやっていて、もしかしたら何もなく平和に終わるかもしれないと思っていた時。
「……里穂」
村田が私の名前を呼んだ。
私は驚いた拍子に本を落としてしまい、まさかの足に落ちるというダサいことが起こってしまった。
痛くてしゃがみこみ、足を抑える。
「おい……大丈夫か?」
そんな私を見て、心配そうに村田がやって来て同じようにしゃがんだ。
「だ、大丈夫……!」
何ドキドキしてんだ、村田が近くにいるだけなのに。



