もう気づいてた。
自分の気持ちが傾いてることぐらい。
でも、私は……
「だ、ダメ!!」
自分のこの気持ちも、村田の気持ちだって受け入れられる自信がなかった。
忘れられないから、晴樹のこと。
やっぱりどうしても忘れたくなくて、中途半端な自分だから。
「は?」
「い、言わないで何も!ごめん私戻る!
迷惑かけてごめん、でも話聞いてくれてありがとう!」
いつもの倍くらいのスピードで話し、私は急いで屋上を後にした。
もちろん村田の返答も聞かずに。
教室に向かう間、ずっと顔や全身があつく、心臓の音もうるさかった。
ダメだと、わかっているのに……
ドキドキして、嬉しいと思ってしまう自分がいたんだ。