村田の存在は、私にとって大切だと。
「……なんだよ、それ。
ずるすぎだよなお前って」
「え……きゃっ!?」
頭の後ろに手を置かれ、また私を引き寄せ抱きしめられた。
さっきよりも力が強い。
「村田…?」
「意味わかんねぇ。腹立つ。
さっきみたいにピーピー泣いとけバカ」
何故か不機嫌な声になる村田。
「ほ、本当にどうし」
「なぁ」
そしたら突然身体を離され、ほんのりと頬が赤い村田が私をじっと見つめてきた。
本当にどうしたの?
「な、なに……?」
「キスしたい」
「な……!?」
一瞬で顔があつくなる私は、単純過ぎてバカみたいだ。
いつもみたいに強引じゃなく、ドストレートに聞かれたらこうなっても仕方ない。



