お前を笑顔にしたいだけ





「晴樹のことは忘れて、前に進むべきなのよ、きっと」



「……え…?」



何、言ってるの?
紗江さんは今、なんて言った?



晴樹のこと忘れて、前に進めって言った…?



「嫌だよ……急に別れてって言われて、その上いなくなるなんて…耐えられない…」



「でも、晴樹がそう言ったんでしょう?
ならもう、里穂ちゃんが引きずる必要はないわ…


忘れていいのよ。



里穂ちゃんみたいな素敵な人、誰もほっておくわけがない。



晴樹なんかより、もっといい人ができるはず……」



それは、明らかに紗江さんからの突き放し。



別れたのならもう私が晴樹に構う必要がないだろうっていう、突き放しの言葉。



それを遠回しに伝えられたんだ。