「おい、行くぞ」
つい夕焼けの方ばかりに視線がいってしまった私は、まだ荷物の整理が終わっていなくて慌てる。
「ま、待って…!」
「たく、遅いんだよ」
「ご、ごめん…!」
「待っててやるからそんな慌てる必要ねぇよ」
少しあきれ顔だったけど、そう言ってくれた村田。
なんだ、急かしたりしないんだ。
なんか日に日に優しくなってる気がくる。
というかこれが本当の村田なのかな。
「ごめん、お待たせ!」
一度ロッカーに行ったりしてバタバタしてしまったけど、準備を終えた私は村田に声をかける。
そんな私を何故か微笑ましそうに見てきた。
その眼差しはやっぱり優しくて、ドキッとしてしまう。
「じゃあ行くか」
村田の言葉で私たちは教室を出る。
ここ最近私を支配していた思い感情が、村田のおかげでほとんど取り払われたような、そんな気がした。



