だから何故、海に誘われたのか。
少し疑問に思ったけど、嬉しくてそれどころじゃなかったのが正直なところだ。
少し肌寒くなってきた秋頃。
学校が終わって晴樹と訪れた海。
空を見上げればそろそろ日が沈みそうで、だけど海が太陽の光に反射して綺麗だった。
『綺麗、だね…』
『うん。でも、あと三十分くらいしたらもっと綺麗なものが見れるんだよ』
満足気に笑う晴樹。
ああ、好きだなって。
それだけで胸が高鳴った。
『ほんと?じゃあ三十分待とう』
あとこうして三十分、晴樹と座って海を見つめながらのんびりできるのが嬉しかった。
まだ私たちは中学生で。
そんなに遅くまでいられないから、いつも早く高校生か大学生になりたいって思っていた。