睨んでやるけど、私の反応を楽しそうに見てるだけ。
「なぁ、こういう状況ってすっげぇわくわくするな」
とことん私をからかってくる意地悪人間だ。
「わくわくしないから離して」
「いっそのこと、もっと深いやつするか」
「……っ!?」
深いやつって……そんなの無理だしこの状況はもっと無理!!
「いい加減にしてよ…!」
私はもう一度睨むけど、効くわけないし村田に額を合わせられる。
村田の顔が近くにあって、そろそろ限界だ。
「そんな顔で言われても説得力ねぇな」
そんな顔って……今、私どんな顔してるの?
「と、とにかく離れて…」
「……里穂」
「……っ。」
やめてよ、名前で呼ばないで。
そんな顔しないで。
そんな愛しそうに名前を呼び、愛しそうな表情をするのは……
晴樹しか、知らない。



